第40回一般社団法人 日本顎関節学会総会・学術大会 第40回一般社団法人 日本顎関節学会総会・学術大会

大会長挨拶

島田 淳

第40回一般社団法人日本顎関節学会総会・学術大会
大会長 島田 淳
医療法人社団グリーンデンタルクリニック
日本大学歯学部総合歯科学分野・付属歯科病院顎関節症科


 この度、第40回日本顎関節学会総会・学術大会の大会長を務めさせていただくこととなりました。会員の皆様をはじめ、関係各位に心より感謝申し上げるとともに、ここに謹んでご挨拶を申し上げます。

 本学会は今回で第40回という節目の大会を迎えます。第1回大会は1988年に金田敏郎先生(名古屋大学口腔外科)が大会長を務められ、名古屋市公会堂にて開催されました。私は前年の1987年に日本大学歯学部を卒業し、日本大学院補綴学教室局部床義歯学講座にて「顎口腔の状態と全身状態との関連に関する研究」をテーマに研究を始めたばかりでした。当時、顎関節症は確定的な診断法が存在せず、病態に不明な点も多く、その結果として多くの病因論が挙げられていたことから、学術大会では様々なテーマのもとで多くの研究が活発に行われており、会場からあふれるほどの人々が集まり、怖いぐらいの熱気に満ちた討論が交わされていたことを今でも鮮明に記憶しております。

 その後、EBMの概念が生まれ、顎関節症は多因子性疾患であり自然経過が良好であることが明らかとなりました。世界標準診断基準であるDC/TMDの誕生とともに、本学会でもこれを踏まえた診断基準、病態診断、そして治療指針が策定され、顎関節症を適切に扱うための環境は整ったように思えます。しかし、広く世の中に目を向けると、顎関節症で悩む患者さんは増加しているにもかかわらず、一般臨床の現場において顎関節症への対応が十分に浸透しているとは言い難い状況です。

 なぜ、このような乖離が生じているのでしょうか。現在、歯科医療において「口腔機能管理」の必要性が高まっていますが、これもまた一般臨床に深く根付いているとは言えません。顎関節症は歯科において極めて重要な口腔機能障害であると考えられますが、現状の口腔機能管理の枠組みには含まれておりません。従来、歯科はう蝕や歯周病など、主に急性期の器質的疾患を扱うことが中心であったため、慢性期の機能的疾患への対応に慣れていないという背景があります。私は、この現状を打破し改善するためのキーワードが「運動器」と「慢性疼痛」であると考えています。

 そこで、本大会におきましては「治すための知と技の探求」をメインテーマに掲げました。顎関節症を「治す」ためには、「運動器」および「慢性疼痛」に対する深い理解が不可欠です。本大会では、運動器の専門家である理学療法士や、慢性疼痛の専門家をお招きし、多くのプログラムを企画いたしました。現在の歯科教育において、運動器や慢性疼痛への具体的な対応法を学ぶ機会は限られています。この大きなテーマを本大会のみで全て網羅することは困難だと思いますが、参加される皆様が患者さんを治すために必要な「知と技を探求」していくための、意義ある契機となれば幸いです。

 歯科が現在推進している口腔機能管理を真に理解し実践するためには、顎関節症に関する知識が必要不可欠です。本大会は、現地開催とオンデマンド配信を併用いたします。現地でご興味のある企画にご参加いただき、直接ディスカッションを深めていただくのはもちろんのこと、現地で参加できなかった企画も含め、オンデマンド期間内に何度でもご視聴いただき理解を深めていただければと存じます。さらに、オンデマンド配信期間中にも講師へ質問が可能なシステムを導入いたしたいと思いますので、日常臨床の疑問など、ぜひ気軽にご質問をお寄せください。

 本大会が、歯科における顎口腔機能管理の理解の深化に繋がるよう、実行委員一同、誠心誠意準備を進めております。歯科医師、歯科衛生士の皆様はもとより、多職種の方々にも広くご参加いただき、有意義なディスカッションができることを心より楽しみにしております。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。